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SDGsへの取り組み:短期大学部


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短期大学部では、豊かな人間性と実践的な専門知識と技術をあわせ持った保健?医療?福祉?教育系専門職者の育成を通して、SDGsの目標達成に貢献しています。

達成目標

今回は、短期大学部のSDGsへの取り組みの先進事例として、こども学科の藤田雅也准教授による「アートの視点から考える持続可能な地域づくり」の活動を紹介します。

藤田准教授が所属されている短期大学こども学科では、社会の変化に対応し子供の生きる力を豊かに育むため、高い専門性を持ち、自ら学び続けることができる保育者の育成を目指しています。藤田准教授はSDGsについて、2030年までのゴールとして世界共通の17の目標が掲げられていますが、そこに示されたゴールを達成すること自体が目的ではなく、それらの目標に向かって一人一人が社会や世界の一員として自分にできることを意識して、より良い社会や世界を作っていく新たな価値観や行動が未来の担い手に求められると考えています。特に子供たちの表現や遊びの中にはこれからの未来を考えていく上で大切にすべき視点がたくさん含まれているため、子供の日々の遊びや生活を通して生まれたアートに焦点を当てて持続可能な地域づくりについて研究と実践を続けています。

身近な環境や自然素材から生まれるアート

幼稚園の園庭にて

たとえば、身近な環境や自然素材からアートが生まれることがあります。自然豊かな園庭で木を管理するために職員が伐採した枝木に興味を持った子供たちは、それらの枝木を近くの大きな木の周りに持っていき次々立て掛けていきました。数本の枝木が組まれていくと2~3人の子供たちが入れるくらいの空間が生まれ、友達と一緒になって自分たちの力で秘密基地を作り上げていきました。その過程では、立て掛ける位置によって使う枝木の長さや形を変えるなど、作ることを通して思考する子供たちの姿が見られました。また、秘密基地と言いながらも子供たちはそこに先生や大人を呼び、「できたよ!」「みて!」と満足そうに基地の魅力や特徴をお話します。そのお話も含めて子供たちが作り上げた世界であると言えます。さらに子供たちは「ここでお茶飲みたいね」「明日はこの基地でさ!」と次の構想を語り合っていました。自分たちが今日作り上げてきた世界を明日につなげていこうとしている姿から、未来や希望を感じます。自己実現の場は子供たちの日々の生活や遊びの中にたくさん含まれています。身近な自然の中から美を発見する行為や自然の素材の形や色から自分の新たなイメージを広げていく遊びが持続可能な地域社会や世界を作っていく上で不可欠です。そして子供たちにとっての保育者は、その表現に共感し、受容してくれる大切な存在なのです。

色砂づくり

子供たちは日々の遊びや生活の中で、モノ?人?環境と関わりながら造形活動を展開しています。その一例として、砂場の砂と絵の具を使って色砂を作る遊びがあります。砂場の砂にふるいをかけてサラサラの粉を集め、それをビニール袋に入れて絵の具を少し加えると、色砂が出来上がります。自分の手のひらの中で砂の感触や温度を感じながら、少しずつ色砂が出来上がる様子を楽しむ子供たちの目は生き生きしています。乾いた色砂をペットボトルに入れておくと、いつでも遊びや造形活動に使うことができます。市販されている色砂ではなく、自分たちが作った色砂で遊ぶという実体験はとても貴重です。藤田准教授はこのような色砂づくりから展開される砂絵づくりを授業にも取り入れています。授業で学んだ学生たちは保育実習や大学祭、地域連携のワークショップなどで機会を設けて子供たちに実践しています。身近にある自然素材を自分の手で表現素材として作り変え、新たな価値を作り出していく遊びは、「つくる責任」や「つかう責任」について考える機会にもなり、質の高い教育の実現にも繋がっています。

地域資源から生まれるアート

瓦の音色を楽しもう

また、藤田准教授は、地域資源を利用した造形ワークショップの企画にも取り組んでいます。たとえば、愛知県高浜市は全国でも有名な瓦の産地であり、いぶし瓦や鬼瓦などの製造が盛んです。約15年前のこと、当時中学校の教師をしていた藤田准教授が、生徒の職場体験で瓦工場を訪問したとき、色々な形や大きさの瓦があることを知りました。そこで、瓦を使って楽器を作るというワークショップを企画し、開催しました。瓦を木の棒で叩いてみると色々な音が生まれることを体験した子供たちは、自分の気に入った音や形の瓦を選び、絵の具やクレヨン、ペン、墨汁などを使って思い思いに形を描き、色を塗っていきました。屋根瓦が自分たちの手によって、色とりどりな楽器として生まれ変わることに子供たちは非常に喜んでいました。また瓦職人の方のお話を聞くことで瓦の製造方法や使用方法などについても学ぶことができました。作品を鑑賞した後はみんなで演奏会を開催しました。地域の素材が絵を描くことの材料になり、世界にひとつだけの打楽器になるという発想は瓦職人の方にはなかったとのことで、産学官の連携としても貴重な機会になりました。地域の魅力を見つめ直したり、新しい角度から再発見したりすることは、これからの持続可能な地域づくりに求められています。

世界をつなぐアート ~子供の絵の世界~

子供たちの感性と理性の調和のとれた成長を願い、子供が自ら作り出す造形文化の推進や支援、そして国を越えて世界の人々をつなぐという国際相互理解を目的として、本学の小鹿キャンパスでは2017年から世界児童画展を毎年開催しています。作品の展示やポスターの原画制作などはこども学科の学生が中心となって進めています。将来保育者を目指す学生たちにとって、世界のさまざまな文化や風土に触れながら子供たちが生き生きと描いた絵の世界をじっくり鑑賞する貴重な機会になっています。また、万国共通の言語とも言える絵を通して、自分の思いや願いを表現したり、作品鑑賞を通して他者を理解したり物語をイメージしたりすることは、新しい世界を創造していく上での原点とも言えます。このような国や文化が異なる人の絵や表現に出会い、そこに込められた願いを理解する活動は、国際理解や世界平和にもつながっていきます。

グローバル化や少子高齢化が加速する現代において、子供たちには自らの人生を豊かに切り開いていく力が求められます。子供の表現の一つ一つが未来を作る種であると考えた時、その種を豊かな土壌で大切に育んでいくことが、家庭や学校、社会などが担うべき大切な役割です。目の前にいる子供たちを見つめ、一緒に立ち止まり、その姿に寄り添うことは、SDGsが誓う誰一人取り残さない社会の実現への大きな一歩であると藤田准教授は伝えています。

世界児童画展

子どもが描いた絵

アートを楽しむ子供たち

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