澳门现金网,正规靠谱的彩票app

图片

グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



植物の免疫を守るタンパク質の発見 ー免疫暴走を防いで成長を支える仕組みー


ホーム >  ニュース >  植物の免疫を守るタンパク質の発見 ー免疫暴走を防いで成長を支える仕組みー

食品栄養科学部環境生命科学科の田村謙太郎(准教授)、森愛理(研究当時博士前期課程2年)、中川志都美(実験等補助員)、鈴木利幸(実験等補助員)らの国際共同研究グループは、植物が病気から自分を守るための新しい仕組みを発見しました。本研究成果は、病気に強い農作物の開発や農薬の削減につながる可能性があります。本研究は英国の科学雑誌『The Plant Journal』の電子版に発表されました。

概要

私達の食卓を支える米、小麦、野菜などの農作物は、病原菌やウイルスといった病原体の脅威に常にさらされています。これらの病害により、収穫量の減少や品質の低下が引き起こされ、世界的な食料不足の一因となっています。一方で、植物はこれらの様々な病害から身を守るために、我々ヒトとは異なる独自の免疫システムを持っています。しかし、この免疫が必要以上に強く働きすぎると、自らの細胞を傷つけてしまい、成長が妨げられてしまいます。そのため、免疫を適切にコントロールする仕組みを理解することは、農業における病害対策や作物の改良にとって非常に重要です。
研究グループはモデル植物シロイヌナズナを用いて、IMPA(インポーチンアルファ)1, IMPA2, IMPA4という3つのタンパク質が、植物の免疫が暴走しないように調節する役割を果たしていることを明らかにしました。これらのタンパク質は植物ホルモンの一種であるサリチル酸の量を適切に調整し、病原体への抵抗力を保ちながら、植物が健康に成長するのを助ける「司令塔」として機能していることがわかりました。
研究では、これら3種類のタンパク質を全て無くした植物を作成して成長や病原体に対する免疫応答を調べました。その結果、この植物では葉が黄変し、根が短く、最終的には枯れてしまうなど、成長に深刻な障害が生じていました(図1)。この結果は、3つのタンパク質が植物の正常な成長に重要な役割を果たしていることを示しています。一方で、この植物体では免疫応答が過剰に活性化されており、病原菌に対する抵抗力が非常に高まっていることがわかりました。具体的には、アブラナ科炭疽病菌(Colletotrichum higginsianum)を感染させたところ、通常の植物よりも症状が軽く、菌の増殖も抑えられていました。この植物では免疫に関わる植物ホルモンのサリチル酸が異常に多く蓄積しており、免疫関連遺伝子が活性化していることも確認されました(図2)。蛍光タンパク質を用いてIMPA1, IMPA2, IMPA4が細胞内でどのように働いているかを調べた結果、これらのタンパク質は細胞核と細胞質の間を行き来して働いている可能性が明らかになりました。この働きが、サリチル酸や免疫関連遺伝子の調節に重要であると考えられます。

図1

図2

この研究成果は、病原体に対する植物の免疫システムの基本的な仕組みを理解する上で重要になるだけでなく、農業における病害対策にも新たな可能性をもたらすことが期待できます。国際食糧農業機関(FAO)によると、病害や害虫による農作物の損失は、世界全体で年間約2200億ドルに達しており、約3億人が充分な食料を得られていない状況に陥っているとされています。本研究成果を応用することで、病害抵抗性の高い作物を作ることで、収穫量を増加させ、将来の食料問題の解決にも貢献できる可能性があります。

用語解説

【シロイヌナズナ】アブラナ科の植物で、遺伝子配列が解読されており、植物科学研究において広く用いられています。
【免疫システム】病原体から身を守るための防御の仕組みです。人間と同じように、植物の場合も病原体の侵入を感知して防御物質を作り出すなどの反応をします。
【サリチル酸】植物自身が生合成する生理活性物質である植物ホルモンの一種で、病原体に対する防御反応を誘導します。
【免疫関連遺伝子】植物の免疫の活性化に関わる遺伝子群。病原体の検出や防御反応調節に重要な役割を果たします。
【細胞核】細胞内にある構造物で、内部に遺伝情報DNAを保持して細胞の活動を制御しています。
【細胞質】細胞内の細胞核を除いた部分で、生命活動を支える様々な化学反応が行われる。

原著論文情報

<論文名>
The importin α proteins IMPA1, IMPA2, and IMPA4 play redundant roles in suppressing autoimmunity in Arabidopsis thaliana.
<著者名>
Airi Mori, Shitomi Nakagawa, Toshiyuki Suzuki, Takamasa Suzuki, Vale?rie Gaudin, Takakazu Matsuura, Yoko Ikeda, Kentaro Tamura
<雑紙名>
The Plant Journal
<DOI>
10.1111/tpj.17203
<公表日>
2024年12月10日(火曜日)(オンライン公開)
<掲載URL>
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/tpj.17203

研究助成

本研究はHuman Frontier Science Program RGP0009/2018, JSPS科学研究費基盤研究(C)JP22K06269, 学術変革領域研究(A)JP23J04205の助成を受けたものです。

お問い合わせ

食品栄養科学部 田村 謙太郎
電話:054-264-5707   
E-mail:tamura@u-shizuoka-ken.ac.jp
研究室Webサイト:https://dfns.u-shizuoka-ken.ac.jp/labs/ecophys/

(2024年12月13日)

モバイル表示

PC表示